バドミントン世界女王・奥原希望が、東京でメダリストになるために (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 写真●新華社/アフロ

「今大会は結果を求めるのではなく、今の自分の立ち位置で何が通用するか、課題を見つけられるかをテーマにしていたつもりだったんですが、最初の試合で思ったより苦戦をしたことで、やっぱり勝ちたいという気持ちがあるんだなということに気がつきました。そのなかでも、やらなければいけないことを、しっかりやらなければ勝てないというのを再確認できて。あの試合のファイナルゲームがひとつのきっかけになり、そのあとの1試合1試合は、自分のやるべきことをやっていくだけだという気持ちになれました」

 奥原の組み合わせは厳しかった。3回戦では大堀彩(トナミ運輸)を2対0で下したものの、準々決勝の相手は、リオ五輪チャンピオンで世界選手権3連覇を狙うカロリナ・マリーン(スペイン)。ファイナルまでもつれる1時間33分の戦いとなった。さらに、準決勝は15年世界選手権2位で世界ランキング1位にもなったことのあるサイナ・ネワール(インド)と強敵が続き、これもファイナルまでいく1時間13分の戦いになった。

「肩を痛めてから僅差の試合というのは、4月のシンガポールオープンのシンドゥ選手との試合や、オーストラリアオープンの茜ちゃんとの試合くらいで、最近は全然そんな試合もできていなかったけど、五輪という舞台でシンドゥ選手にボコボコにされたのがあったので、怖さはなくなっていました。4年に一度の特別な舞台で、自分を出せずに何もできないままで終わったので、そこがある意味底辺だったのかなと......。内容的にはひどい試合もあったかもしれないですが、あの特別な舞台で屈辱を経験したからこそ、それ以下はないと開き直って、相手の球を怖がらずに配球できるようになったし、冷静になれるようになりました」

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