「相撲部員は繊細です」。豪栄道を生んだ名門・埼玉栄を支える監督の愛 (4ページ目)

  • 松岡健治●文 text by Matsuoka Kenji

 このように、練習ではイメージ力アップを心掛けているが、一方で、体を作る基礎練習は徹底している。夕方の練習は、四股、すり足、鉄砲、腕立て伏せなどに大半の時間を割く。さらに、申し合いが終わった後の仕上げには、体幹トレーニングを実施する。同相撲部を卒業した幕内力士が高校を訪れた際に、この基礎練習をやったところ、「体がクタクタになって、その後に相撲を取ることができなくなった」ほど、ハードなメニューとなっている。

 そんな山田監督は常々、部員に「感謝の気持ち、思いやり、気合」という3つの教えを伝えている。強さを支えるその教えは、自身が中学生をスカウトする際にかける言葉にも反映されている。

「『埼玉栄に来ないか』という言葉は使いません。『この山田と一緒に相撲をやろう』と言うんです。そうして私を信頼して入ってきた子は、一生面倒を見る覚悟で付き合っています。同じ屋根の下で暮らすわけですから、理屈では通らない部分が多々ある。指導にマニュアルなんてないんです」

 すべてをかけて部員を守る山田監督に率いられ、今年5月には101回を数える伝統の『高校学校相撲金沢大会』の団体戦で優勝した埼玉栄。監督の情熱が、今年も相撲部を全国の頂点へ導く。

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