新城幸也が激闘のツールを語る。「今年は僕が勝つ大会ではなかった」 (3ページ目)

  • 山口和幸●取材・文・撮影 text & photo by Yamaguchi Kazuyuki

 2回目の休息日に日本の取材陣から「これまでで一番、楽に走っているんじゃない?」と質問されると、「楽ですよ。総合成績の上位につけたエースをアシストする仕事がないし、落車もしていないから」と笑顔で返したが、その一方で「このままでは終われない。なにか結果を残したい」と吐露していた。

 32歳となった新城は、すでにチーム内ではベテランの域。加えてツール・ド・フランス出場経験もずば抜けて多い。スプリント要員4人、山岳スペシャリスト4人で構成されたチームで、平坦ステージではスプリンターのエースを牽引する仕事をこなしつつ、チャンスを与えられたときはチャレンジを繰り返した。ところが、"逃げ"が成功しない。

「第1集団が構成されても、ゴールまで逃げられるかはメンバーによる。トーマス・デ・ヘント(ベルギー/ロット・ソウダル)やトニー・マルティン(ドイツ/カチューシャ・アルペシン)のような独走力のある選手と一緒なら可能性も高くなるが、さすがにそれは選べません(笑)」

 アタックして第1集団に加われなかったときは、「リカバリーの日」と割り切ってゴールを目指した。なんとかしたいという気持ちは強かったが、あっという間にツール・ド・フランスの23日間は終わった。

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