【月刊・白鵬】横綱が分析する
「天才棋士」藤井聡太四段の強さ

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 私も、炎鵬にはできる限り胸を出して稽古をつけています。身長169cm、体重95kgと小柄ですが、この小さな体のどこにそれだけのスタミナがあるのかと、驚かされるほどのタフさを備えています。ですから、私もついつい指導に熱が入ってしまい、普段なら午前11時前後には終了する朝稽古を12時半ぐらいまで続けた日もありました。

 元気な若手が意欲的に挑んでくると、時間を忘れてしまうし、自分も「そのパワーに負けたくない」という気持ちになるんですね。そうやって、稽古で思いっ切り汗を流したあと、柔軟体操をしていると、土俵上にはスーッと心地よい風が通り抜けていきます。それがまた、充実感を覚えるひとときでもあります。

 宮城野部屋の若手にもぜひ注目してほしいと思いますが、今世間で最も脚光を浴びている"若者"と言えば、中学生プロ棋士の藤井聡太四段でしょう。

 11時間半にも及ぶ"死闘"を制して、公式戦29連勝という前人未到の記録を打ちたてた藤井四段。記録更新は30年ぶりの快挙というのですから、極めてすごいことだと思います。角界を代表して、祝福の言葉を送りたいと思います。

 本当におめでとうございます。

 モンゴルではチェスが一般的ですが、将棋はそれに近いのでしょうか? モンゴルで過ごした少年時代、私も家族や友人とチェスをして楽しんでいましたよ。

 それはさておき、藤井四段はまだ14歳ということですが、その強さを私なりに分析してみると、14歳なりの"純粋さ"と"鋭さ"が噛み合っているように思うのです。

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