落車が続出のツール序盤。王者フルームはマイヨ・ジョーヌを守れるか (5ページ目)

  • 山口和幸●取材・文 text by Yamaguchi Kazuyuki
  • photo by A.S.O.

 だがその直後、39秒遅れの総合5位につけていたBMC・レーシングチームのリッチー・ポート(オーストラリア)は、フルームが不測のトラブルで遅れたことを知り、アルの走りを制御して「復帰を待とう」と提案。その結果、フルームはアシスト陣に引き連れられてアルとポートの位置まで復帰することができたのである。

 そして最大の波乱は、最後の下り坂で起きた。2015年までアシスト役としてフルームの優勝に貢献してきたポートは、移籍したBMCのエースとして絶好調で臨む今大会の総合優勝候補だった。ところが、そのポートが下り坂で落車してしまい、鎖骨と骨盤を骨折。フルームが「最大のライバル」と名指ししていたポートの野望は、一瞬のうちに断たれてしまった。

 ゴール直後、フルームは首位のマイヨ・ジョーヌを守ったものの、苛立ちは隠せなかった。

「あのときは自転車を交換するためにサポートカーと連絡を取っていたので、ゴール後に記者に言われるまで、アルがアタックをしたことは知らなかった」

 一方で、リタイアとなったポートに対しては、感謝の気持ちを述べた。

「僕の復帰を待つようにと統率してくれたポートには、感謝の言葉を送りたい。優勝争いをしたかっただけに、リタイアしてしまったことが悲しい」

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