落車が続出のツール序盤。王者フルームはマイヨ・ジョーヌを守れるか (3ページ目)

  • 山口和幸●取材・文 text by Yamaguchi Kazuyuki
  • photo by A.S.O.

 ツール・ド・フランスの興行主「A.S.O.」としては、サガンのような存在感のある選手を失いたくはなかっただろう。だがその一方で、スポーツとしてルールを順守して公平性のある運営も行なわなければならない。ただ、サガンの動きは他選手の落車を誘発したかもしれないが、今回のケースも連日のようにある接触プレーのひとつに過ぎず、サルドプレスの記者は「あれで一発失格なのか?」という声が広がった。ファンもガッカリしたと思うが、主催者と記者も同様の気持ちだった。

 サガンと所属するボーラ=ハンスグローエは翌5日、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に処分撤回を訴えたものの、6日には即時却下。いずれにしても、大会タイとなる6年連続のポイント賞獲得は5日の第5ステージに出走できなかった時点で幻となったのである。

 さらなる波乱が起こったのは、序盤戦最後の第9ステージ。翌10日は国際規定に設定された休息日のため、極めて重要なステージだった。例年は大会終盤に最難関のステージが設定されるが、2017年のルートはこの第9ステージが最難関。カテゴリー「超級」(もっとも難易度が高い山岳地点)の厳しい峠が3つもあるステージだが、この日は相次いでアクシデントが発生する。

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