アクロバット相撲の宇良は、実は4歳から押し相撲を磨く正統派だった (2ページ目)

  • text by Sportiva
  • photo by Kyodo News

 小学3年生から中学を卒業するまでは、相撲と並行してレスリングも学んだが、進学先の鳥羽高校(京都)で選んだのは相撲部。入学時の宇良は152cm、52kgで、相撲部の中だけでなく、クラスでも一番小さかった。

 しかし、そんな宇良に対しても、当時の田中英一監督は菊池氏とまったく同じ指導を行なった。「勝ちに急ぐ相撲は取らせませんでした。稽古でも20番、30番くらい取るんですが、負けてもいいから前に出るように徹底して指導しました」と田中氏。加えて、バランスボールを使った体幹トレーニングや、前に出る相撲に欠かせない「足の指で土をつかむ力」をつけるため、足の指で物をつかんだり、かかとを浮かせて足の指だけで歩いたりという練習も課した。

 これらの練習は厳しく、特に足の指だけで歩く練習は、できるようになるまで時間がかかる部員が多かったという。しかし、宇良は持ち前の運動神経ですぐに対応してみせた。田中氏が「修学旅行でスキーに行った時も、スキー板を履くのも初めてなのに、最終日には上級者のコースで滑っていました」と回顧するように、バク宙も身軽にこなせる抜群の運動神経を活かして、前へ攻める相撲を磨き続けた。

 角界入り後も鍛錬を怠らなかった宇良は、2015年春の初土俵からわずか所要7場所で新十両、12場所で新入幕と順調に昇進。負け越しはわずか1場所という快進撃で番付を駆け上がってきた。

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