【月刊・白鵬】ハートに火をつけ「鬼になった横綱」が1年ぶりの優勝 (3ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 日を追うごとに、私は以前のような相撲の感覚がよみがえってくるようでしたね。けれども、相撲には常に「万全」ということはありません。いつまた、何かの拍子にケガをしてしまうかわかりません。ですから、私は自分に言い聞かせるように、「一番、一番です」と言い続けていました。

 13日目、高安が日馬富士を破り、大関昇進を確実にする11勝目を挙げました。この時点で、日馬富士、高安が2敗。全勝の私と2差がついて、久しぶりの優勝が見えてきました。

 その分、翌14日目の照ノ富士戦はちょっと慎重にいきすぎたかもしれません。それでも、照ノ富士を寄り切り。14日目に決めた1年ぶりの優勝は、本当にうれしかったです。

 アマでも、プロでも、32歳でも、がんばれば、努力すれば、目標を達成できるものなんですね。久しぶりの優勝、しかも全勝優勝という格別さ。

「ただ今、帰ってきました!」

 インタビューの第一声に、私の気持ちが集約されていたと思います。

 充実した結果と内容に終わった夏場所後には、さらにおめでたい出来事が待っていました。モンゴル人力士の大先輩で、2年前に現役を引退した旭天鵬関こと大島親方が、所属していた友綱部屋の師匠となることが決まったのです。友綱部屋の土俵や建物、所属力士などはそのままで、師匠の座が友綱親方(元関脇・魁輝)から大島親方に引き継がれることになりました。

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