桃田賢斗は生まれ変わったか。
謹慎中に考えたこと、取り組んだこと

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AFLO

「一番心配していたのはフィジカル面だが、身体がちょっと細くなった感じで動きは軽いイメージがしたし、しっかり練習してきていると感じた。技術面では、彼はもともとネット前のうまい選手でそこは世界のトップレベルだが、今回はネット勝負ができていなかった。1年間、試合に出ていなかったことで感覚が戻っていないこともあるだろうが、勝ちたいという気持ちが強くあるので、攻めるときにはまだ余裕がなく、硬さもあって単調になっている部分も感じた」

 このあと桃田は、7月の全日本実業団に出場後、特例の自費参加でカナダオープンとUSオープンに出場する予定だ。朴監督は「ナショナルBが出場する予定なので、桃田の状況に関してはコーチングスタッフから情報をもらう」と話すが、「今はポイントが0点でランキングがないので、ランキング上位の選手が出てきて出場枠の空きがなくなれば桃田は出場できない状態」ともいう。

 日本バドミントン協会のルールでは、国際大会に出場するためにはナショナルチーム入りすることが必要条件だが、その選考は11月末から行なわれる全日本総合選手権後になる。桃田に必要なのは、そこまでにしっかりと実績を積み上げ、もし国際大会に出られるようならそこでキッチリとポイントを獲得し、世界ランキングを得ることだ。

 かつては身につけていたアクセサリーも、桃田は自らの意思で外した。復帰戦では柔らかなラケットワークなど彼らしさを見せていたが、まだまだ全体的には硬さもあった。桃田特有のしなやかで奔放なプレースタイルを取り戻せるかどうかは、これからの戦いにかかっている。

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