桃田賢斗は生まれ変わったか。
謹慎中に考えたこと、取り組んだこと

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AFLO

 試合後、桃田のプレーについて敗者の上田はこう語った。

「桃田はもともとネット前がうまい選手。今回は僕もネット勝負では負けていなかったが、桃田はネット勝負にこだわるのではなく、きっちり回して甘い球を打たせようとしてきた。3ゲーム目に入ったときは、1ゲーム目や2ゲーム目より勝ちたいという気持ちが伝わってくる感じだった」

 一方、復帰戦で優勝を飾った桃田は、その想いをこう述べた。

「決勝では上田選手もいいパフォーマンスをしたので体力的にきつかったし、精神的に折れそうになるときもあった。そんなときでもコートに立たせてもらった感謝の気持ちが自分を奮い立たせ、1球1球を返す気持ちにつながったと思う。試合が終わった瞬間は、支えてくれた会社の人たちやチームメイトたちがかけてくれた何気ない言葉の数々が頭のなかに浮かんできました。優勝がうれしいというより、コートのなかでの振る舞いや、相手への感謝の気持ちなどを見てもらえたのがうれしい」

 試合中の桃田の表情は、最後まで緊張に包まれた硬いものだった。以前はスーパーシリーズで戦うときも、もう少し余裕をもって戦えていたという。だが今回は、1回戦から決勝まで緊張しきった戦いを続けたことで、疲労感は今まで以上に大きかったと振り返る。

 そんな桃田を見て、日本代表チームの朴柱泰(パク・ジュボン)監督はこう評価した。

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