モンゴル勢力士の逆襲なるか。稀勢の里との対決では彼らにも拍手を (3ページ目)

  • text by Sportiva
  • photo by Kyodo News

 照ノ富士の体には、胸を中心に両肩へかけて今までにはなかった発疹が見られた。本人は理由を明かさなかったが、心ない声へのストレスが異変の一因になったとも考えられる。こうしたことが続けば、横綱、大関陣の死力を尽くした勝負に水を差すことになりかねない。

 思い出すのは、2015年に亡くなった北の湖前理事長の言葉だ。1998年名古屋場所で横綱に昇進した3代目・若乃花から日本出身の横綱が誕生しない状況が続き、年が明けるたびに「今年こそ、日本人横綱の誕生を期待しますか?」と各メディアから質問を受けた。しかし前理事長は、「ファンの方が期待していますから頑張ってもらいたい」と言うにとどめ、自らが期待する旨の発言を控えていた。

 その真意は、「日本人だけに期待するとは言えません。どこの国の力士もみんな同じで、土俵で頑張っているんです。そこに国籍は関係ありません」だった。出身に関わらず、角界に入門したらみな同じ。番付上での地位の違いはあれど、それ以外で区別することはあり得ないという姿勢を、細部に至るまで徹底してきた。外国人出身力士に対して「1部屋1人」という規定はあるものの、角界は北の湖前理事長のポリシー通りに門戸を開き、平等に育ててきた。

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