【月刊・白鵬】横綱が語る、稀勢の里の激闘と「浅田真央の引退」 (3ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 横綱の強さを見せつけた稀勢の里の活躍は、先輩横綱として頼もしく感じましたし、私も改めて「がんばらなければいけない」という気持ちが強くなりましたね。

 春場所が終わると、春の巡業が行なわれました。私はその前半を休ませていただいて、母国モンゴルでケガの治療に専念していました。

 その間、ヨガに取り組んだり、軍隊向けのトレーニングをしたり、結構ハードなリハビリメニューをこなしていたんですよ。今回はモンゴルでも所用に追われることなく、そうやってリハビリに専念できたことで、体だけでなく心も洗われた感じがします。

 そのおかげで、4月17日の靖国神社奉納相撲から春巡業に帯同。巡業の稽古では、宇良など若手力士に胸を出すこともできました。

 そうしたときに飛び込んできたのが、長年フィギュアスケート界を引っ張ってきた、浅田真央選手引退のニュースでした。

浅田真央選手の引退について語る白鵬浅田真央選手の引退について語る白鵬 彼女のことについて、一番印象に残っているのは、やはり2014年のソチ五輪でのフリーの演技です。

 これまで、見ている人をあれほど惹きつける演技があったでしょうか。さらに演技を終えた瞬間の、彼女の何とも言えない表情......。努力に努力を重ねた者にしか浮かべることのできない表情だった――私には、そんなふうに見えました。

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