「逆境で笑う」SC軽井沢は、カーリング初の五輪メダルを本気で狙う (3ページ目)

  • 竹田聡一郎●取材・文 text&photo by Takeda Soichiro

 しかし、SC軽井沢の面々からは、焦燥感や悲壮感は伝わってこなかった。ラウンドロビン敗退後、プレーオフを観戦したメンバーは、カナダやスウェーデンといった世界トップのショットをスタンドから改めて見ても、「うめぇなぁ」「完璧だ」「今の(ショット)は特にやべぇ」と、それぞれ称賛の声を上げながら、誰もが笑顔を浮かべていた。

 そう、彼らは2007年のチーム結成以来、常に前だけを見つめ、どんな逆境も跳ね除けてここまで来たのだ。

 世界と同等にやり合うために、攻撃的な戦術を採り続け、「もっとリスクを減らさないと勝てない」と批判されながらも、自分たちのカーリングを貫いて日本の頂点に立った。

 当初、メンバーのほとんどが学生やフリーターだったが、「世界に触れ続けないと(世界で)勝てない」と、カナダ遠征は毎年必ず敢行した。その際、勝てるゲームはほとんどなかったが、「今考えると、それすらも楽しかったかもしれない」と、山口は語ったことがある。

 さらに、「最後に生きるのは、技術」と信じて、練習量は減らさずにアイスの上にずっと乗り続けてきた。そして、そんなチームが歩んできた軌跡を、両角友はやはり笑って振り返る。

「常に挑戦ばかりでしたよ」

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