内村航平「もう地獄ですね」。薄氷の10連覇は東京五輪への吉兆か (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 築田純●写真 photo by Tsukida Jun

 それに対して谷川は、あん馬で得点を下げ、白井もあん馬の13.500点に続いて、つり輪もEスコア7.6点の演技で内村を下回り、あん馬では内村を上回っていた千葉も、つり輪で得点を下げた。

 次の跳馬では内村が14.500点を出したのに対し、白井はDスコア5.6点のシライ・キムヒフンで14.850点。その時点の合計では内村が白井を0.2点、谷川を0.3点リードして楽勝パターンに持ち込んだかに見えた。

 だが内村は「予選を終えて試合勘は戻ってきましたが、体の疲労はあってそのダメージが跳馬を終えてから出てきてしまった。5種目目は個人総合で一番集中し直さなければいけない種目なのですが、筋肉痛が大胸筋に出始めたので苦しかったです」と振り返る。

 その平行棒では、少し乱れが出て14.450点。それぞれ14.800点と14.700点を出した谷川と白井に、合計では0.05点上回られた。

 それでも最後の鉄棒は、リオ五輪と同じ構成で途中細かなミスをしながらも、着地をピタリと決めて14.450点を出し、合計86.350点で白井と谷川を上回った。ただもうひとり、Dスコアは低いながらも2種目の9点台を含め、すべての種目で8点台後半のEスコアを出す安定感を見せた田中佑典(コナミ)には0.05点差まで迫られる、薄氷を踏む勝利だった。

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