木曽の山で鍛えた「二歩目の速さ」で、御嶽海が大関昇進へ突き進む (3ページ目)

  • 松岡健治●文 text by Matsuoka Kenji
  • photo by Kyodo News

 高校時代の恩師が「天性」と評したスピードについて、御嶽海の父・大道春男さんは、「小さいころから体は大きかったんですが、運動会では常にリレーの選手でした」と明かす。そんな抜群の下半身の強さは、自然の中で培われた。春男さんは建築関係の仕事で、木曽という土地柄、仕事場が山の中になることも多かったが、幼いころの御嶽海はそこによくついていったという。

「あの子は、大人でも歩くのがキツい急こう配の山道を、私について歩いていたんです。そういうことを繰り返すうちに、自然と足腰が強くなったんじゃないかと思います」と春道さんは振り返る。木曽の山で育まれた下半身が「天性」のスピードを生み出したのだ。

 初めて小結に昇進した昨年の九州場所では、期待されながら6勝9敗と負け越した。その悔しさをバネに、2場所での三役復帰を果たした御嶽海を、師匠の出羽海親方(元幕内・小城ノ花)は「以前は安易に引く相撲があったが、今は立ち合いから攻める意識が出ている。そこが進歩しているところ。初場所はそういう内容がある相撲だった」と評価する。

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