木曽の山で鍛えた「二歩目の速さ」で、御嶽海が大関昇進へ突き進む (2ページ目)

  • 松岡健治●文 text by Matsuoka Kenji
  • photo by Kyodo News

 最大の武器は、178cm、158kgの体を存分に使った突き押しだ。長野・木曽青峰高校時代の尾羽林英樹監督(現・更級農業高校)は、鋭い出足と圧力ある押し相撲を支えているのは「スピードある二歩目」と語る。

「立ち合いの圧力は高校時代から際立っていました。ただ、彼のよさは、踏み込んだ後の二歩目の速さなんです。二歩目が速いから、立ち合いで当たった後にすぐ圧力をかけられる。これは教えて身についたものではなく、持って生まれた天性のもの。あの二歩目のスピードが、プロになった今でも彼を支えていると思います」

 勝敗の8割が立ち合いの成否で決まると言われる大相撲。一歩目の踏み込みが重要なのは言うまでもないが、さらに相手を押し込むための「二の矢」が、白星を引き寄せることになる。逆にそれが遅ければ、相手に付け入るスキを与えてしまうことになる。四つ相撲ではなく、ひたすら前に出ることで勝機を見出す押し相撲ならなおさらだ。

 御嶽海自身も、「立ち合いで踏み込んで相手に圧力をさらに与えるためにも、二歩目が重要だということは分かっています。そこで速く踏み込めれば、優位に立つことができますから」と、二歩目を強く意識しているという。立ち合いの踏み込みはほとんどが左足で、二歩目は右足になる。ここまでのスピード出世を可能にした右足が、これからの大関取りでも後押しするはずだ。

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