レジェンド鳥人・葛西紀明と男子ジャンプ陣は平昌までに復調できるか (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Newspix24/AFLO

 日本スキー連盟の斉藤智治ジャンプ部長は「今シーズンを振り返ると夏まではいい感じできていたが、冬シーズンに入ってから海外勢との差が急に開いてしまった。技術面もあるがマテリアル面もあるし、いろいろな道具の関係もあるということが今は少しずつ分かってきているので......。その辺を整理して平昌五輪まではテクニックも含めてすべての面で世界と対等に戦えるようにしたい」と語る。

 竹内も「昨季のW杯29戦で15勝したペテル・プレブツ(スロベニア)の場合は、今までの技術を覆すようなジャンプをしていました。ただ、今季に関していえばどの選手もお手本通りというか、みんなが狙っているようなジャンプをしている。それでこんなに飛距離の差が出るというのは『道具しか考えられないかな?』というのはありますね。僕らは体を動かす側なので、できる限りいいジャンプを求めていくというところで戦っているけれど、結構差は開いていると思います」と首をかしげる。

 ラージヒル個人戦のあとも竹内は、「選手の中にはスーツの形がまったく違う人もいた。彼らは道具も体の一部だと考えていると思うので、僕らももっとシビアに考えていってもいいのかなと」と言い、伊東も「僕はスーツなどのことはあまり考えず自分の技術でどうにかしようという考えでやってきましたが、道具などの細かいところまでこだわらなければいけないスポーツになってきたとも感じている」と話した。

 12~13年シーズンの冬から、スーツの大きさはそれまでの体のサイズ+6cmから+2cmに変更され、そのことをきっかけに日本勢は復活した。それから4シーズンが過ぎ、新たな開発競争がちらつき始めている。そこにチームとしてどう対応するかも、これからの課題になってくるだろう。

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