次こそ大舞台で勝つために。悔しい銅メダルから高梨沙羅が得たもの (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AP/AFLO

 だが現実は厳しかった。1本目は弱い追い風をもらう中でヒルサイズにあと2mと迫る98mまで飛距離を伸ばし、99.5mを飛んだ今季W杯4勝のマレン・ルンビー(ノルウェー)に2.7点差の2位につけた。

 ところが2本目になると、1本目4位の伊藤が96.5mを飛んで得点を伸ばす。続いて、今季はW杯未勝利ながら2月になって調子を上げてきていたフォクト(1本目は3位)が、14年ソチ五輪と15年世界選手権連勝の勝負強さを見せ、伊藤より弱い向かい風の中で96.5mを飛んで上回ってきた。

 そんな重圧がかかる中で、高梨はフォクトよりさらに向かい風が弱くなる厳しい条件に立たされた。結果、95mまでしか飛距離を伸ばせず、伊藤にも1.5点負けて、この時点で3番手に落ちた。そして最後のジャンパーだったルンビーも、初優勝のプレッシャーと追い風という悪条件で91mにとどまったため、高梨の13年大会の銀に次ぐ2個目のメダル獲得となる3位が決まった。

「今年はシーズン初めからこの世界選手権を目指してトレーニングをして、ここにピークを持ってこようと準備をしてきました。でも、合わせられなかったのは準備不足だと思うし、大事な試合にピークを持っていく力が自分には一番足りないものだと思う。このあとは平昌五輪へ向けてもそこをどう変えるか、根本から考えていかなければいけない」

2 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る