【月刊・白鵬】横綱が語る、稀勢の里の横綱昇進と時天空との別れ (2ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 しかし14日目、なんとか2敗をキープしていた私が、貴ノ岩に敗れて3敗目。この結果、1敗を守ってきた稀勢の里の優勝が決まりました。

 昨年は年間最多勝を受賞するなど、彼は本当に強い大関でした。そんな彼の努力が実っての優勝です。その瞬間、支度部屋にいた稀勢の里は涙を流していたと聞きました。ここに至るまでの苦労は相当なものだったと思います。

 この優勝が追い風となって、稀勢の里の横綱昇進が俄然現実味を帯びてきました。千秋楽、結びの一番は、私との対戦です。

 私は稀勢の里を土俵際まで追い込んだのですが、そこで残せるのが、彼の強さです。大関から次のステップに進む力士だというのを、この相撲で実感しましたね。

 場所後は、まさしく"稀勢の里フィーバー"が沸き起こりました。みなさんも、テレビなどのメディアを通じて、その盛り上がりはご存知でしょう。

 節分の日、成田山での豆まきでも、稀勢の里の話題で持ちきりでした。そのとき、ちょうど私も参加していて、彼と会話をかわす機会がありました。そこで、直接お祝いの言葉を伝えることができました。彼はいい表情をしていましたね。

 これから、どんなタイプの横綱になっていくのか、本当に楽しみです。その反面、私にとってはこれまで以上に闘志を燃やせる存在になりました。今後の対決へ向けて、私はワクワクしています。

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