新しいスキーでW杯53勝目の高梨沙羅。「一番勝ちたい」世界選手権へ (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Fujita Takao/PHOTO KISHIMOTO

「ジャンプ自体は1本目の方がよくて、2本目はかなり大きく外してしまいました。でも他の選手より緩い追い風の中で飛べたということもあって、運に助けてもらったかなと思います」と伊藤。

 今季は札幌と蔵王で勝ち星を重ね、4勝目にして海外初勝利も飾った。W杯総合3位以内につける高梨とマレン・ルンビー(ノルウェー)、伊藤の3名以外、トップ10の選手は不在という今大会だが、踏み切りから空中への流れや、技術の安定が、多少のタイミングのズレをカバーできる地力となって表れ、きっちりと飛距離を伸ばせている。高梨とのトップ2を、強く印象づける優勝だった。

 それでもW杯総合ポイントで2位の伊藤に247点差をつけ、2季連続4回目のW杯総合優勝を決めた高梨だが、この試合に関しては「悔しいという思いの方が強い。午前中の練習で、このジャンプ台の感じをつかみかけたと思ったのですが、アプローチスピードが出なくなっているということは、スタートゲートや助走レールの感じをつかみきれていなかったのだと思います」と反省の弁を述べている。

 トップに立った1本目のジャンプでも伊藤より時速で0.8km遅く、ルンビーには1.7kmも負けていた。スピードが出ないということは、アプローチ姿勢がズレているということ。それゆえに無駄のない踏み切りができなくなっているのだ。

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