「500mは無敵」の小平奈緒。
平昌の金メダルへの必殺技を手に入れた

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Fujita Takao/PHOTO KISHIMOTO

 世界ランキングで見れば歴代9位で李相花(韓国)の世界記録36秒36とは差もある。それでも、37秒13より速い記録はすべて標高の高いソルトレイクシティか、カルガリーで出ている記録。

 李相花(韓国)がソチ五輪の2本目で37秒28を出しているが、今回はそれを更新する低地世界記録ともいえるハイレベルなものだった。

 その李は、小平の次の組で滑って37秒48で2位。今季小平が欠場したW杯で2勝しているジン・ユ(中国)も最終組で2位にとどまり、この大会の個人種目では日本女子初優勝が決まった。これまでのように2本滑った合計タイムではなく、今回からは1本勝負になった世界距離別選手権。緊張感もより増大するなかで、2位に0秒35差をつけた小平の勝利は、今の彼女の充実ぶりを証明する結果でもあった。

 それでも小平は冷静な表情を崩さない。

「今回はここに懸けるというより、平昌五輪に向けた通過点として、最高の形でいいイメージだけもらって帰れたらいいなと思っていて、その通りになったので本当にいい準備ができていたのだなと思いました。どんなにいい練習をしても、どんなにいい技術を身につけても、いいイメージというのはこういうような経験でしか培えないので。それを今回果たせたということは、平昌五輪でいい位置につけるための必殺技ではないけど、そんなアイテムになると思うので......。来年もまた違う形で強い選手が出てくると思いますが、そういう自信を持ちつつトレーニングにこれまで通りに励んでいきたい」

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