「500mは無敵」の小平奈緒。平昌の金メダルへの必殺技を手に入れた (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Fujita Takao/PHOTO KISHIMOTO

 スタートでは少し出遅れた感覚があったというものの、それもまたプラスに働いた。

「スタートの速い選手が相手だと私は割といい時が多いので。『行かれたな』と思ったけど、国内でも100mが速い辻麻希さんとの経験があるので、50m過ぎから巻き返していけばいいかな、と思って滑りました」

 100m通過は、低地ベスト記録を出したベルリンより0秒12も速い10秒31。そこからロスなく残り400mを26秒82で滑り、高地ベスト記録さえ大幅に塗り替える日本新の37秒13でゴールした。

「37秒1台を出せるとは思ってもいませんでした。ゴールしたあとタイムを確認したかったけど、目が悪いこともあって見えずにいたら結城先生が13だと言ってくれたのでビックリして。すごくうれしかったけど、もっと思い切り弾けるのは来年の五輪にとっておこうと思いました」と笑う。

 結城コーチも「こっちに入ってからの練習で、400mのラップタイムは26秒台が出そうだなというのは感じていたので37秒2台くらいと予想していたんですが......」と驚く。標高0mに近い江陵のリンクで出したこの37秒13という記録は、とてつもなく価値があるものだ。

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