過熱するフィーバーにも稀勢の里は
「不動心」。新横綱の2週間に密着

  • スポルティーバ●文 text by Sportiva
  • photo by Kyodo News


 奇しくもこの日は春場所の前売り券発売日で、先述のようにわずか2時間あまりで全15日間、すべての席種が完売した。若貴フィーバー以来の売れ行きに、大阪入りしてからは、稽古場はもちろん、周囲からの注目度はさらに増していくだろう。

 ただ、この異常な熱気の中でも常に足元を見つめ、不動の姿勢が変わることのなかった新横綱は、おそらくブレることはないだろう。稀勢の里を支えるのは、ある「夢」だ。かつて、稀勢の里は親しい知人にこんな想いを明かしていた。

「力士はあれだけ大きな体を持っているのに、土俵の上で俊敏に動ける。そういう部分に『なんでだろう』と子どもたちに思わせたい。その裏側には、常人では考えられないような激しい稽古と常に相手を敬う礼儀がある。相撲でしか味わえない素晴らしい部分を伝えていきたい」

 最高位を極めた今、その想いはより強くなっているに違いない。相撲少年を増やすことは、伝統文化としての大相撲を後世に残すことにつながる。3月の大阪で、稀勢の里の夢への挑戦が始まる。

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