2017.02.02

五輪新種目ボルダリング。
10代中心の中、「30代」が挑み続ける理由

  • 津金一郎●文 text by Tsugane Ichiro  佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 一方、20歳を超えた選手たちが出場できるIFSCルールでのボルダリングの国内大会はわずか1試合、このBJCしかない。年に一度の舞台であるがゆえに、モチベーション維持が難しい。社会人には仕事との兼ね合いという課題もある。

 だが、そうした状況ながらも、今大会に参加した女子59人、男子132人のうち、女子9選手、男子3選手の"オーバー30歳"が出場し、加島智子(13位)と川端彰子(18位)、中野稔(12位)が準決勝まで駒を進めた。岩場でのクライミング活動も盛んに行なう3選手にとって、スポーツクライミング大会に出場することに、どんな意義を見出しているのだろうか。

左から加島智子選手、中野稔選手、川端彰子選手
 「10代の頃は大会に出ることに努力は要らなかった。でも、確実にいまの方が大会に出ることへの"想い"は強いですね」と語るのは、都内のボルダリングジム・アンダーグラウンドで店長として働く川端だ。高校1年でクライミングに出会い、2004年のジュニアオリンピックカップ(リード)で1位になるなど、ユース年代の主要大会で数多く入賞したが、社会人になると5年ほどクライミングから離れた。それが4年前に"アングラ"が開店するのを機に「働かないか」と声をかけられ、クライミングに戻ることを決めた。

「ジムで働き始めるときに、コンペで成績をあげて名を売って、ジムでの収入以外にもセッターとしても他のジムから声がかかって稼げるようにならないとダメだなと思って。10代の頃はいつでも登れるという気持ちがあったけど、いまは生活が懸かっているから、やるべき時を決めて集中してトレーニングもできるようになりましたね」

 クライミングジムが急増するなか、クライマーたちの収入源のひとつになっているのが、ジムでの"セッター"という仕事だ。ホールドを外し、新たなホールドに付け替えながら課題を作っていく。藤井のように勤務先でセットをする場合もあれば、他のジムから呼ばれてセットに出向くこともある。ジム利用者に訴求できるだけの実績があれば、声はかかりやすい。