【月刊・白鵬】通算1000勝へと
勢いづけた、石浦からのサプライズ

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 前夜のサプライズも相まって、その勝利の味は格別でしたね。引き上げる花道では、知人やファンの方がたくさんの花束を持って迎えてくれました。その花束を受け取ったあとには、東京から駆けつけてくれた長男や長女からも、可愛い花束と祝福の言葉をもらいました。

 まさに感無量でした。同時に、ここまで本当に長かったな、と思いました。

 通算1000勝は、大相撲の長い歴史においても、これまで横綱・千代の富士関(1045勝)と、大関・魁皇関(1047勝)の、ふたりしか成し遂げていない特別な記録です。特に、同じ土俵で戦っていた魁皇関が記録を達成した瞬間には、「本当にすごいなぁ」と思って、その姿が眩しく見えたものです。

 それだけに、まさか自分が達成するとは......。信じられない気持ちと、感慨深い思いでいっぱいになりました。土俵下では、元魁皇関の浅香山親方が審判員として、私の1000勝を見守ってくれていました。それも、何かの縁なのかもしれませんね。

 ところで、当初九州場所では、大関・豪栄道の綱取りが話題の中心でした。中盤に入って豪栄道が星を落とすと、その話題も次第に薄れて、優勝争いは混沌としていきました。

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