【月刊・白鵬】通算1000勝へと勢いづけた、石浦からのサプライズ (2ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 さて、秋場所(9月場所)を全休した私は、10月の秋巡業には途中から参加し、その中で徐々に稽古を再開していきました。福岡入りしてからは、九州場所から新入幕を果たした石浦、十両に復帰した山口ら、同じ部屋の面々とともに汗を流しました。

 小柄ながら、黙々と稽古をこなして、ついに幕内の座をつかみ取った石浦と、病気を乗り越えて復活を遂げた山口。ふたりは私がスカウトした力士でもあって、彼らのがんばりが、私に勇気を与えてくれました。

 また、九州場所の番付発表の日には、ふたりの母校(鳥取城北高)がある鳥取市内で、新入幕の石浦、十両復帰の山口のお祝いパレードが行なわれ、彼らと一緒に私もオープンカーに乗せてもらいました。その際、ファンの方々から温かい声援を受けて、改めて気合いを引き締めて、九州場所に臨むことができました。

 その九州場所、私の最大の目標は通算1000勝を達成することでした。

 振り返れば、通算37回目の優勝を全勝で飾った夏場所(5月場所)を終えた時点で、通算1000勝まであと13勝という状況にありました。調子さえよければ、続く名古屋場所(7月場所)で記録を達成してもおかしくなかったと思います。ですから、メディアの方々から1000勝の話題を振られるたびに、私は「できれば、名古屋場所で達成したい」と語っていました。それだけ、記録達成への思いも強かったのです。

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