何者なんだ? 男子スピードスケートに現れた新星は「村上電気」所属

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 藤田孝夫●写真 photo by Fujita Takao

 14年ソチ五輪の惨敗後、いち早く立て直しの成果を出し始めていた女子に比べ、低迷度合いを深めていたスピードスケート男子。だが今季は10月21日からの全日本距離別選手権で好記録が続出し、復活の芽を出し始めている。

突如として現れ、500mで世界と戦えるポテンシャルを見せた村上右磨突如として現れ、500mで世界と戦えるポテンシャルを見せた村上右磨 その中でも期待されるのは短距離の復活だが、今季はベテランの加藤条治が日本電産サンキョーの監督に就任しながらも現役を続け、一度は引退をしていた長島圭一郎(リカバリー)が現役復帰。そうしたなか、一本勝負になった500mを制したのは、今季からオランダ人のロビン・ダークスがヘッドコーチ(以下、HC)に就任したナショナルチーム・スプリント(短距離)に新加入していた、23歳の村上右磨(ゆうま/村上電気)だった。

 同じナショナルチームの藤野裕人と同走だった村上は100mを過ぎてからの残り400mを全選手最速の25秒41で滑って35秒08でゴール。昨年12月の全日本スプリントで出していた自己記録の35秒32を大きく更新して優勝をさらった。世界と戦うためにはここで34秒台は欲しいところだが、ここ2年この大会の優勝者の記録は35秒20~40台と低迷していたことを考えれば、34秒台も狙える記録だ。今後ののびしろを考えれば、やっと期待できる選手が出てきたと言っていい。

「34秒台を狙っていましたが、1週間前の練習中にコーナーで転倒して、100m過ぎからの小さなコーナーの入り口でビビッてしまって。それに緊張しすぎてスタートで出遅れてバタバタしてしまったのもよくなかった。ナショナルチームには今年の5月から入りました。100mは去年の方が速かったけど、今年は後半が伸びるようになったので余裕ができてきたし、直線の滑りもよくなりました」

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