【月刊・白鵬】横綱が語る、豪栄道の魅力「男が惚れる男」 (4ページ目)

  • 武田葉月●構成 text&photo by Takeda Hazuki

 ところが、度重なるケガに泣かされて、なかなか出世できませんでした。結局大関に昇進したのは、2014年の秋場所。入幕から7年もかかりました。

 以降も、とんとん拍子とはいかず、勝ち越すのがやっと、という成績が続いていました。部屋での稽古では断トツの強さを見せつけていると聞いていたので、先の名古屋場所(7月場所)で負け越したときには、「いったい、どうしたのだろう?」と、不思議に思いましたね。

 それでも8月の夏巡業では、懸命に稽古に励む豪栄道の姿がありました。きっと、心に期すものがあったんでしょうね。そしてそれが、秋場所の輝かしい結果につながったのだと思います。

 私から見ると、豪栄道はいいところがたくさんある力士です。力士向きの向こうっ気の強さがあります。天性の相撲勘のよさも持ち合わせています。そのうえで、人に感謝できる、素直な気持ちを持っている点もいいですね。縦社会である相撲界ではそういうところも重要なんです。非常に人間性に優れた彼は、男が惚れる男なんじゃないかと思います。

 少々不器用なところもあって、今までは思うような成績が挙げられなかったかもしれませんが、今回の優勝でひと皮も、ふた皮もむけて、これからますます活躍してくれるのではないでしょうか。そんな"新しい"豪栄道が見られることを、私も大いに期待しています。

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