世界選手権で男女とも熱闘。「スモウ」はオリンピック種目になるのか (4ページ目)

  • 武田葉月●文 text&photo by Takeda Hazuki

 大会全体を通してみると、海外勢の躍進に比べて、日本チームはやや低調に終わった印象がある。メダルラッシュで湧いたリオ五輪では、お家芸である"柔道ニッポン"の復活がクローズアップされたが、それとは対照的な結果となった。

 男子チームの敗因を挙げるとすれば、国際試合の経験の少なさに尽きるだろう。日本人選手は、相撲の基本に忠実で、多彩な技を持っているものの、"ここ一番"の大舞台で力を発揮できない。五輪の柔道同様、「勝たなければいけない」というプレッシャーに押し潰されている部分もある。

 翻(ひるがえ)って女子は、男子とは違って、かなり根本的かつ深刻な問題を抱えている。それは、相撲をやれる環境が十分に整ってない、ということである。

 高校では、照ノ富士、逸ノ城ら多くの力士を輩出していて、相撲に理解の深い鳥取城北高があり、大学では、日大、立命館大などがあるものの、女子相撲が部活動として成立している例は、数えるほどだ。そのうえ、中学、高校、大学で活躍してきた全日本レベルの選手たちが、社会人になってもそのまま相撲を続けるのは極めて難しい。社会人でも結果を出している山中や上田らは、非常に稀有(けう)な存在。せめて、女子柔道や女子レスリングの選手たちのような環境であれば、選手層が増して、レベルアップするのは間違いないのだが......。

 女子相撲の発展は、安心して相撲ができる環境づくりができるかどうかにかかっている。

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