世界選手権で男女とも熱闘。「スモウ」はオリンピック種目になるのか (3ページ目)

  • 武田葉月●文 text&photo by Takeda Hazuki

 こうして始まった女子相撲だったが、当初は「相撲=大相撲」、つまり「男性のスポーツ」という概念が強く、競技人口は非常に少なかった。周囲から"イロモノ"的にとらえられていた影響もあるだろう。

 それでも、各種大会がスタートし、柔道やレスリングなどから転向してくる選手が出てきたり、相撲人気に触発されて自ら女子相撲界に飛び込んでくる者がいたり、次第にその数は増えていった。今では、国内では小学生や中学生の大会も開催され、国際大会も世界各地で開かれるようになった。

 そして、12回目を迎えた今大会も大いに盛り上がった。日本のメンバーでは、国内の"絶対王者"であるふたり、軽量級の山中未久(立命館大職員)と、無差別級の上田幸佳(鳥取西中教員)に、メダルの期待がかかっていた。

 中学時代から相撲ひと筋の山中は、俊敏な動きと集中力の高さが売り。今大会でもその武器を存分に生かして、決勝まで駒を進めたが、決勝では女子の強豪国のひとつであるウクライナの宿敵ボイコバ・アリーナに敗退。銀メダルにとどまった。しかしながら、今回の世界選手権の運営に関わっていた横綱・白鵬は、「今大会で一番印象に残っているのは、山中選手のがんばり」とその奮闘ぶりを称えている。

 一方の上田は、幕内・逸ノ城の高校の先輩で、2012年に行なわれた第9回大会の覇者。国際経験豊富で、安定感のある相撲には定評がある。だが、今大会ではやや精彩を欠いて早々に敗退。メダルには届かなかった。

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