亡き千代の富士が"技と魂"を注入。モンゴル出身・千代翔馬の覚悟

  • 松岡健治●文 text by Matsuoka Kenji
  • photo by Kyodo News

 11日に初日を迎える大相撲秋場所(両国国技館)で新入幕を果たした、モンゴル人力士の千代翔馬(25歳・九重部屋)が、"千代の富士の忘れ形見"として注目を集めている。

先代の九重親方(元横綱・千代の富士)の銅像の横で、ポーズをとる千代翔馬先代の九重親方(元横綱・千代の富士)の銅像の横で、ポーズをとる千代翔馬

 西十両3枚目で迎えた7月の名古屋場所で9勝6敗の成績を収め、幕内昇進を決めた。2009年名古屋場所の初土俵から7年目の新入幕に、「長かったですね」と苦難の日々を振り返った。

 モンゴル・ウランバートル出身の千代翔馬は、モンゴル相撲の大関だった父の影響でモンゴル相撲と柔道に没頭。モンゴル相撲で全国3位に入るほどに成長した彼の、日本の大相撲へ入るきっかけを作ったのは元横綱・朝青龍だった。

 千代翔馬の父と朝青龍の父が旧知の仲で、当時現役だった朝青龍が同じ一門の九重親方・千代の富士にお願いして入門が決まった。相撲協会の規定で「外国人力士の採用は各部屋一人限り」と定められており、九重部屋にはすでに外国人力士がいたため、高知・明徳義塾高校に相撲留学。1年間ほど待ったのち、ようやく初土俵を踏んだ。

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