【フェンシング】メダルまであと一歩。エペで男女ダブル入賞の快挙 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by JMPA

 そして、エペでは女子も活躍した。2回目の五輪出場となる佐藤希望(のぞみ)がベスト8に進出し、こちらもまた日本エペとして、初の入賞を果たした。

準々決勝で敗れたものの、8位入賞を果たした佐藤希望準々決勝で敗れたものの、8位入賞を果たした佐藤希望 その佐藤の勝ち上がり方はミラクルだった。剣を持つ右手の親指を突き指で痛めていたにも関わらず、2回戦では第3シードのタチアナ・ログノワ(ロシア)に延長戦一本勝負の末に15-14で勝つと、3回戦ではロンドン五輪優勝のヤナ・シェミャキナ(ウクライナ)を11-8で破る大金星を連発。準々決勝では優勝したエーメセ・サス(ハンガリー)に完敗したが、それでも8位。

 エペが男女ダブル入賞を果たした大きな要因として、フルーレが03年秋からウクライナ人のオレグ・マチェイチュク氏をヘッドコーチに招聘したところから始まり、続いて招聘した、ウクライナ人のオレクサンドル・ゴルバチュク氏が、2年間の臨時コーチを経て、10年から日本代表チームのエペコーチに昇格し、強化に取り組んできたことだ。

 佐藤が「シェミャキナ選手は普段から仲がよくて、試合の前には一緒に対策を考えるほど。リオの前のアメリカでの調整合宿も一緒で、互いに手の内を知り合っている相手でした」と話していたように、試合に遠征するだけではなく、コーチが情報を集めて他国と一緒に合宿をするなど、世界の選手たちと練習する機会を多く設けていたことも有効に働き始めているのだ。

 それは、このリオ大会だけではなく20年東京五輪はもちろんのこと、その先の24年の五輪までを視野に入れた長期的な構想を持った強化策だ。

 その途上としての五輪でのダブル入賞は、全種目で団体戦出場を逃したことや、男子フルーレ太田の初戦敗退という悔しい結果を、カバーしても余りある大きな成果だった。

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