奇襲作戦、自転車大破、流血。
C・フルーム執念の「ツール2連覇」

  • 山口和幸●取材・文 text by Yamaguchi Kazuyuki
  • photo by AFLO

 今年は、ライバルの反撃に乏しいツール・ド・フランスだったかのように見える。しかし、その裏にはフルームの執念と強力なチームサポートがあり、ライバルに思うような走りをさせない激闘があった。

「(第1ステージで)アルベルト・コンタドールが落車でケガをしたのは、僕にとっても不運だった。彼がいたら最後までバトルが続いたはずで、また違ったツール・ド・フランスになったと思う」

 最終日前日、総合優勝を確実なものにしたフルームはこう語った。

「僕が優勝した2013年・2015年も、ナイロ・キンタナは最終週に上り坂で手に負えない走りを見せた。今年も警戒したよ。おそらく雨によって彼のパフォーマンスが落ちたので、今年はこれまでのような攻撃が見られなかったが、来年はふたたび手ごわいライバルになると思う」

 7月24日、マイヨ・ジョーヌを着たクリス・フルームが3度目のパリ・シャンゼリゼを駆け抜けた。ツール通算3勝は、歴代5位タイの記録である。

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