奇襲作戦、自転車大破、流血。
C・フルーム執念の「ツール2連覇」

  • 山口和幸●取材・文 text by Yamaguchi Kazuyuki
  • photo by AFLO

「下りでアタックすることは、まったく計画にはなかった」と、このステージを逃げ切り優勝したフルームは語る。

「上りで何回かアタックしたが、他の選手がついてきた。だったら下りで突き放してやろうと考えた。ちょっと体力を使ってしまい、翌日の過酷なレースが気になるが、ステージ優勝は気分がいいし、貴重なタイムを稼ぐことができた」

 最大のライバルと言われるモビスター・チームのナイロ・キンタナ(コロンビア)と、アスタナ・プロチームのファビオ・アルー(イタリア)は、わずかの差でフルームを追う位置にいる。フルームとしては、上りに強いこの2選手の走りを警戒しているだけに、第8ステージで下りを使った奇襲作戦に出たとも考えられる。

 フルームは、第11ステージでも積極的に動いた。残り12kmから世界チャンピオンのペーター・サガン(スロバキア/ティンコフ)がアタックすると、すかさずフルームも追走。両選手のアシストが1人ずつ合流し、ライバル選手のいる後続集団との差を広げにかかる。一時は30秒ほどの差がついたが、さすがにスプリント勝負に持ち込みたいチームが追撃したため、結果的には6秒差。しかし、「少しでもタイム差を稼ぎたい」というフルームの果敢な攻めに、ライバルたちは脱帽した。

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