ありえない事態に記者ぼう然。ツール・ド・フランスに「走る」激震 (4ページ目)

  • 山口和幸●取材・文 text by Yamaguchi Kazuyuki
  • photo by AFLO

 その日の朝、チームミーティングで「アタックしていい」と監督から言われ、そのチャンスをきっちりとモノにした。ただし、新城のアタックに反応したのは1選手のみで、「もう少し逃げの人数が多いと期待していたので残念だった」と語る。とはいうものの、もう後には引けない。70km地点では最大差となる5分超のタイム差をつけたが、結局ふたりの逃げは残り25kmで後続の集団に吸収された。

「今日はそんなつらい走りにはならなかった。 25kmで捕まったので、体力はそれほど使っていない。敢闘賞に僕が選ばれたのは主催者の配慮かも」とあくまでも冷静。終盤戦は、「逃げに乗ってゴールまで逃げ切り、少人数のゴール勝負を制してステージ優勝したい」と意欲満々だ。

 今大会、もっとも目立つ活躍を見せているのは、世界チャンピオンの称号である5色の虹色ジャージ「アルカンシエル」を着用しているティンコフのペーター・サガン(スロバキア)だろう。前半戦でステージ2勝を果た し、中間ポイントとゴールの通過順に与えられる得点の累計で争うポイント賞でも1位。同賞のリーダージャージである「マイヨ・ベール」を守っている。

 平坦路でのサガンは、常にゴール勝負に加わる。第10ステージでは、レース中盤から逃げている先頭集団の先頭を引っ張り、ゴール勝負にこそ負けたものの、区間勝者から「サガンの強さは半端じゃない」と評された。

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