2016.06.15

朝青龍と白鵬が乾杯。断髪式で改めて感じた旭天鵬の「偉大さ」

  • 武田葉月●文 text&photo by Takeda Hazuki

旭天鵬の断髪式に参加した元横綱・朝青龍 モンゴル人力士の第一期生として、初土俵を踏んだ旭天鵬。入門当初は、日本や相撲界の習慣に馴染めず、部屋を脱走してモンゴルに帰国したこともあった。同期の旭鷲山が華々しい活躍を見せる一方で、長い間スランプに陥っていたこともあるが、1996年春場所で新十両となり、1998年初場所で新入幕を果たすと、旭鷲山とともに奮闘。ふたりの活躍は、モンゴルでもリアルタイムで放送されている大相撲中継で連日映し出されていた。

 その姿に、モンゴルの子どもたちは熱狂し、憧れた。旭鷲山はもちろん、旭天鵬もまさにモンゴルの少年たちの「ヒーロー」だったのだ。

 朝青龍も、その少年たちの中のひとりだった。しかも、日本に来て力士となってからも、朝青龍は旭天鵬にいろいろと面倒を見てもらった。

 高知・明徳義塾高に相撲留学し、その後若松部屋(当時=現・高砂部屋)に入門した朝青龍。兄弟子に怒られて悩んでいたとき、同期生の旭天山を通じて相談に乗ってもらったのが、旭天鵬だった。

 ゆえにこの日、朝青龍が姿を現さないはずがなかった。自らのヒーローであり、大恩ある旭天鵬の一大イベントである。華麗なスーツを身にまとった朝青龍は、往年の“オーラ”を放ちながら、久しぶりに国技館の土俵に上がった。

「旭天鵬関は、みんなに愛される人。草原で育った少年のような気持ちを持った人です。そして、僕と違って真面目な人です」

 大先輩の髪に鋏を入れたあと、朝青龍は自らを顧みながら、そう自重気味に語った。