超人か。五輪ロード代表・新城幸也が大腿骨骨折から3ヶ月で驚異の優勝 (4ページ目)

  • 山口和幸●取材・文 text by Yamaguchi Kazuyuki  高木秀彰●撮影 photo by Takagi Hideaki

 大会2日目にはチモライがステージ優勝し、まずは目標を達成。こうなると、新城の動きは自由度が増して、復調を確かめるように走りが積極的になる。大会6日目の富士山ステージは、富士山の5合目までの11kmを一気に駆け上がる山岳コース。新城は好調ぶりを確かめるかのように先頭集団を順調に走行していたが、変速機のトラブルにより一度レースをストップ。不運なことに、チームカーも急勾配に耐えられずにエンジンが故障するというトラブルに見舞われて、24位でゴールした。

「調子は日に日によくなっている。大会5日目の南信州ステージでは優勝できると思っていたが、ゴール勝負のスプリントで他選手と身体が接触し、位置を下げてしまったことが残念だった。今日も調子がよかったし、明日の伊豆ステージが楽しみだ。復帰戦としては上出来」と、この日の新城は語っている。

 そして最終日前日。静岡県伊豆市の日本サイクルスポーツセンターで開催された第7ステージで、新城が優勝した。同大会で新城が優勝したのは、2007年の最終日・東京ステージ以来だ。

 伊豆ステージの総距離は、12.2kmサーキットを10周する122km。獲得標高3000mという厳しいコースで、この大会の総合優勝の行方を左右するレースと言われていた。過酷なサバイバルレースで第1集団は絞り込まれたが、新城はこのなかに残っていた。そして、ラスト600mから飛び出して後続を振り切った新城は、両手を広げながら天を仰ぎ、観客の声援に応えながらゴール。日本人としては、1996年の第1回大会に今中大介が優勝して以来となる、実に20年ぶりの伊豆ステージ優勝を果たした。

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