43歳でW杯3位の葛西紀明。狙うは「平昌のメダルと国民栄誉賞」

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 築田純●写真photo by Tsukida Jun

 ソチ五輪シーズンのように、スピードが出ても正確に立ち上がれるポジションを見つけて、助走速度をあと時速0.5~0.7kmほど上げられれば、飛距離もあと2~3mは稼げるはずという。

 それでも「葛西の空中を進む速さと、空気をとらえる技術は世界でもピカイチ」と横川ヘッドコーチは語る。空中処理の安定度があることで、11戦中7戦でトップ10入りを果たし、安定した成績を出せているのだ。

 葛西自身も、「助走姿勢もあまり大げさには変えず、いろいろ考えて少しずつ試しているんです。どこかにスピードの出るタイミングがあるので、そこを探しながら焦らずにやっていけばいいと思います。今でも風さえ当たれば表彰台に上がれるジャンプはできていますから」と、余裕を持って競技に臨めている。

 そんな言葉通り、翌31日の午前に行なわれた第2戦でも葛西は結果を残した。この日は前日とは一変、向かい風が吹いて、秒速0m台から2m台でめまぐるしく強さが変わる難しい条件。最長不倒距離はヒルレコード超えの143.5mにまでなる荒れた試合になった。

 その中で葛西は1本目に2mを超える向かい風をもらって138.5mまで飛距離を伸ばし、なおかつ飛型点では、満点の20点を出す審判もいたほどの完璧な着地を決めて3位につけた。そして2本目は134mにとどまりながらも3位を堅持。前日表彰台を独占したスロベニア勢もペテル・プレブツの6位が最高という中で、自身の最年長表彰台記録を更新し、レジェンド・葛西の安定感を見せつけた。

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