【月刊・白鵬】横綱も認める強さ。初場所の琴奨菊は違っていた

  • 武田葉月●文 text&photo by Takeda Hazuki

 そして迎えた初場所。私は快調に白星を重ね、中日には目標の勝ち越しを決めて、そのまま初日から無傷の10連勝を飾ることができました。

 10連勝がかかった1月19日は、尊敬する大鵬さんの3度目の命日でした。その日は大鵬さんの墓前に手を合わせてから、両国国技館に向かいました。私にとって大鵬さんという存在は、今でも精神的な支えとなっています。

 また、昨年11月に亡くなられた北の湖元理事長も、私には大きな存在でした。30歳になった今、私自身が大鵬さんや元理事長のような存在になっていかなければいけないのだと、日々心に言い聞かせています。

 話を戻しましょう。11日目は、同じく全勝の琴奨菊との対戦となりました。

 この初場所においては、2006年初場所から10年間も日本出身力士が優勝していないことが、場所前から話題となっていました。国技館の天井付近に飾られている優勝掲額からは、10年前に優勝した栃東関(現玉ノ井親方)の額もすでに外されていて、そんなところからも、相当な月日が経っていることがわかるのではないでしょうか。

 それだけに、日本出身力士の優勝への期待は大きく、初日から白星を重ねてきた琴奨菊への注目は日に日に高まっていきました。

 実際、琴奨菊の調子はすこぶるよかったと思います。10日目に横綱・鶴竜を寄り切りで破った一番は、ここ数年の中でも最もいい相撲だったのではないでしょうか。

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