異次元の強さで飛ぶ髙梨沙羅。平昌五輪の金メダルへ視界良好 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Yuya Nagase/ PHOTO KISHIMOTO

 そんな髙梨を全日本スキー連盟の斉藤智治ジャンプ部長は、「他の選手は力が落ちているのではなく、昨シーズンと同じレベルを保っている。髙梨だけが進化している状態です」と評価する。そんな力の差を改めて見せつけたのが、翌日の第2戦だった。

「予選で飛んだ時に『今日は体のキレが悪いな』と思ったので......。そういう時は念入りにウォーミングアップをして体を温めてキレを取り戻さなければいけないけど、いつも以上にやって疲れてしまったらパフォーマンスを落とす結果にもなるので。そこの兼ね合いが重要だけど、今日はそこがうまくいかなかった」

 こう話すように髙梨は、2本とも納得のいかないジャンプだったという。しかも1本目は、ひとり前のダニエラ・イラシュコ(オーストリア)にW杯ヒルレコードとなる99.5mの大ジャンプをされた。

 そんな状況でも、2段下の13番ゲートから97mを飛び、ゲートファクターのプラス6点を生かし、5点差を付けてトップに立った。

 さらに2本目は直前のイラシュコまでは向かっていた風が追い風に変化したために、コーチの判断で他の選手と同じ14番ゲートからスタート。秒速0.27mの追い風ながらも2番手のイラシュコなどを2m上回る94mを飛び、今季W杯4勝目を難なく決めたのだ。

「沙羅はコンスタントに結果を出していて本当に強いので、アンドロイドではないかと思ってしまう。私にはまだ改善すべき点もあるが、1日は24時間しかないので、その中で改善して沙羅と競り合っていくことは難しいと思う」

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