【月刊・白鵬】横綱が打ち明けた「あの事件」の真相 (4ページ目)

  • 武田葉月●文 text&photo by Takeda Hazuki

 理事長は、10日目の私の猫だましに関して、厳しい意見を述べられていたようですが、実際におっしゃっていたこととは、少し違う形で報道されたようです。そのことは、人づてに聞きました。あらゆる場面で叱咤激励してくださったことは、本当に感謝しております。

 理事長、すなわち北の湖関のことは、私もいろいろな方々に教えていただきました。1970年代半ばから1980年代前半にかけて、輪島関とともに「輪湖時代」を築き、自らに厳しく相撲道を歩んでこられたとうかがっています。

 協会のトップに立ってからは、私たち力士の目線に立って、何事にも取り組んでくれていました。力士のことをとても大切にしてくださる方で、非常に懐の深い方でした。

 モンゴル人力士の先輩、朝青龍関が起こしたことに関しても、我がことのように心を痛め、対策に奔走されていました。そして、慌しい中にあっても、私をはじめ、力士みんなにさりげなく声をかけて、励ましてくださいました。

 また、相撲界は一時不祥事が続いて、低迷していました。そこから、今の活気ある相撲界に建て直されたのも、理事長でした。

 尊敬する大鵬関に続いて、超えることのできない“大きな方”を失ったことは、本当に悲しいことです。しかし、我々は理事長の意志を継いで、これからも相撲界を盛り上げていかなければいけません。理事長がいつもおっしゃっていた「土俵の充実」を実現すべく、なお一層がんばっていく所存です。

4 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る