【レスリング】永田克彦「42歳での復帰とグレコローマンへの想い」 (6ページ目)

  • 永田遼太郎●文 text by Nagata Ryotaro
  • photo by Tsukida Jun/AFLO SPORT

 インタビューの最後に、昨今ささやかれている「グレコローマン廃止論」について意見を求めた。すると永田は、一段と熱を込めてこう答えた。

「それはありえないですね。グレコローマンは世界的にも伝統的な種目のひとつですし、レスリング=フリースタイルではなくて、レスリングはフリースタイルとグレコローマンスタイルの両方あって初めてレスリングと言えるので、それを“不要”とするのはおかしな話です。日本人がグレコローマンに向いていないとかよく言われますが、向いていないのではなくて、日本はグレコローマンをする環境が今はないから世界で勝つことができないんです。だから子どもたちにもグレコローマンを選択できるように、始める年齢を今より低年齢化する必要がありますし、危険と呼ばれないようルールもしっかり整備して、そうした大会を開く必要があります。それに合わせて中学生、高校生の大会、そして女子でもフリースタイルとグレコローマンのふたつを作り、グレコローマンをやる選手、フリーをやる選手と早い時期から分けて育成しなきゃいけないと思います」

 そう言うと、彼は幾つかの改革案を提示して私に見せてくれた。それを語っている永田の身振り、手振り、そして何より表情はとても真剣でいて、とても楽しそうだった。つまるところ、彼がレスリング界への復帰を決意した一番の理由は、そこに集約されているような気もしたのだ。

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