東京五輪の競技会場は、観光名所にどんどん「仮設」で作れ!

  • text by Sportiva

杉山 スポーツをどう見せるかということを考える人がいるんですね。日本はそれがない。実際に決まってからはテレビ局の人も何かやるのだろうけど、オリンピック全体をどう見せるかということを考える人がいないんじゃないかな。それもやはりスポーツ文化に関わることかもしれない。

山嵜 イギリスはスポーツといったらイコールサッカーみたいなところがあります。あとはラグビー、クリケットがあるぐらい。みんなが見るものが決まっているような気がします。それが歴史があるという話なんだろうけれども。あとはスポーツを議論する文化というのがある。テレビで『マッチ・オブ・ザ・デイ』みたいなのをやっていて、ワンプレー、ワンプレーを巻き戻して見ながら議論している。日本でそこまでしゃべっている人はいないですよね。

杉山 昔は『プロ野球ニュース』のような番組があったけど、減りましたよね。1試合に5分、10分かけて解説の人がああだこうだ言うような番組はないし、独自の見方をする番組もない。誰がゴールを決めたという話で終わってしまいます。あと、やはりイギリスの人はスタジアムで観るのが好きですね。サッカーだっていつも満員じゃないですか。

山嵜 満員でした。プレミアリーグが本当に強かった00年代は、チケットはなかなか取れなかったです。でも、そういうスポーツ文化のベースがあると、いい選手、試合、観客、そしてスタジアムが出てくるのだと思います。建築というのは、必ずしもいい設計士を使ったからいい建築ができるというのはなくて、発注する側のプロジェクトに対する理解や思いというのも大きく影響する。プロジェクト実現までの過程ではお金とか工期とか様々な問題が必ず出てくるんです。でも、それでも「やっちゃえ」という判断をしてくれるのは、結局は発注側なのです。

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