【フェンシング】リオ出場に黄信号。危機を救うのは10代の2人 (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 望月仁●写真 photo by Mochizuki Hitoshi

「今回はイタリアにも勝てる、とわかったのが大きな収穫。前のメンバーは負けの経験値が多いのでどうしても負けのイメージが先行するけど、今回の(松山)恭助や(敷根)崇裕はそんな経験がないので、負けのイメージよりも勝ちたいというイメージの方が強かったと思う。ここで勝てたということは、来年のリオ五輪に出られれば、勝てるチャンスがあるということ。金メダルを狙う限りは苦手チームがあってはいけないので、負けても勝ってもいい試合ができる今のチームは良くなっていると思う。五輪に出るには他力本願という形になったけど、残る試合で僕たちがやらなければいけないのは、もし当たったらアメリカを叩き、なおかつポイントを獲得して韓国の猛追をかわすことしかない」

 太田が一度引退してから競技へ戻ったのは、「リオで結果を残さなければ東京にはつながらない。チームを建て直しながら、若い選手に自分のすべてを伝えるのが自分の競技生活の最後に果たすべきことだと思った」という理由からだ。

 五輪出場確定までの試合は1月のフランス・パリ大会と2月のドイツ・ボン大会のみ。その戦いをどうくぐり抜けるかは、今回で主力メンバーに定着したといえる松山や新戦力として使えることがわかった敷根が、太田の思いを受けてどれだけ実力を発揮し、なおかつチームを活性化させられるかにかかっている。

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