【フェンシング】リオ出場に黄信号。危機を救うのは10代の2人 (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 望月仁●写真 photo by Mochizuki Hitoshi

 そして5位決定戦の15年世界王者イタリアとの対戦では、松山がロンドン五輪優勝メンバーのアンドレア・バルディーニに26対30とされたあと、敷根が世界ランキング14位のジョルジョ・アボラを相手に6連続得点を含めて相手に3点しか取らせず、35対33に。再び松山も前日の個人戦では7対15で完敗していたダニエル・ガロッツォに5対4で競り勝ち、こちらも最後は太田が5連続得点でバルディーニを抑えて45対37で勝利した。

 千田は「イタリアに勝ったのは5年ぶりくらい。アメリカには負けたが世界選手権1位と2位のチームにいい内容で勝てたのは、確実にチームの実力もついてきている証拠。若手が入ることで活性化して僕たちベテランの刺激になっているのは間違いないし、チーム内にも競い合いの精神が生まれてきているのはいい傾向だと思う」と話す。

 松山は「インボーデンには勢いで負けたけど、太田さんや千田さんだったらそこで流れを変える何かができたはずだから、それができなかったのが悔しい。でもイタリアのガロッツォには絶対勝ちたいと思い、アメリカの試合で悪かったところや良かったところを、何回も頭の中で考えて『これなら崩せるのでは』というものを(イタリア戦で)できた」と振り返る。

 また敷根は「イタリア戦の最後で自分の納得いくプレーができたけど、最初からそれができなかったのは自分の弱いところ。次の試合にももし出場できれば、攻撃時の体を伸ばしきった状態のファント(攻撃の基本姿勢)でのスピードが速いと周りから言われる特徴や、他の人の真似をしたくないという自分の気持ちを生かして思い切りやりたい」と話す。

 結局、今大会はアメリカが優勝。日本はベスト16で敗れた韓国とはポイント差を広げたが、3位だった中国はアメリカに4点差まで迫られてしまった。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る