ブラサカ日本代表がアジア選手権でパラリンピック初出場を狙う (3ページ目)

  • 松原渓●取材・文 text by Matsubara Kei

 日本は前回のロンドン大会の予選後、魚住稿(うおずみ・こう)監督による新体制の下で厳しいトレーニングを積み、ヨーロッパでの親善試合を増やすなど継続的な強化を図ってきた。そして、昨年末に代々木で行なわれた世界選手権では、過去最高の6位に入るなど、その強化は着実に実を結びつつある。

 今大会に臨む日本代表について、エースの黒田智成も「これまで僕が戦ってきた日本代表の中で確実に一番強いチーム」とたしかな自信を見せる。

 日本の特徴は、組織的な守備からの堅守速攻だ。なかでも、魚住監督が武器として挙げるのが、4人のフィールドプレーヤーによって作られる「守備のダイヤモンド」。

「選手は簡単にやっているように見えますが、視覚障害者にとってポジショニングを50cm単位で修正するのは実は難しいところで、その裏にはひたむきな努力と濃密なコミュニケーションが隠されています。その美しさは世界一のダイヤモンドだと思っています」(魚住監督)

 また、10年以上にわたって代表でプレーしてきたキャプテンの落合啓士(おちあい・ひろし)は、試合中のポイントとしてメンタル面を挙げる。

「見えない状態でプレーしているので、ちょっとでも気持ちが揺らいだら、一歩が遅くなってしまうんです。逆に、気持ちがしっかりしている場合は音も聞こえるし、周りが見えていいプレーができます」

 攻撃では、FWの黒田のドリブルに注目したい。黒田はまだ視力があった小さい頃に見た「キャプテン翼」のアニメに影響を受け、ボールを蹴り続けてきたという。足裏を使った鋭いターンや、常にイメージしているという「キーパーの逆をつく」フェイントは強力な武器だ。

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