ブラサカ日本代表がアジア選手権でパラリンピック初出場を狙う (2ページ目)

  • 松原渓●取材・文 text by Matsubara Kei

 ブラインドサッカーは、04年のアテネパラリンピックから正式種目として採用された。健常者と障害者が一緒にプレーできる唯一のパラリンピック種目でもあり、視力に障害を持つ4人のフィールドプレーヤー(※)と、晴眼者(目が見える人)によるゴールキーパーの5人がピッチに立ち、相手ゴールを目指す。

※目の上にアイパッチをはり、アイマスクを着用することが義務付けられている。また、選手同士で衝突したり、転倒したりしたときの頭部の外傷を予防するために、保護用のヘッドギアを装着する。

 また、敵陣のゴール裏には「コーラー」と呼ばれる選手(晴眼者)が立ち、たとえば、「あと5メートル!角度は40度!」といった具合にゴールまでの方向や距離、角度などを伝える。

 使用するボールには鉛を使った鈴が入っていて、転がると「カシャカシャ」と音がするため、選手はその音とコーラーの指示を頼りにゴールを目指す。危険な接触を防ぐため、ディフェンス側の選手はボール保持者に対して「ボイ!」(Voy=スペイン語で「行くぞ」の意味)と言いながら守備をしなければならない規則もある。

 その動きや1対1の駆け引きは、まるで目が見える選手と思ってしまうほどのスピード感と迫力があり、応援にも自然と熱が入る。だが、歓声や拍手など試合中の「音」は、「コーラー」のコーチングが聞こえなくなるため厳禁。静寂の中で緊張感溢れる攻防を楽しみ、その分ゴール時やプレーが止まった時には大きな歓声を送りたい。

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