じゅんいちダビッドソンの「無回転俳句」が炸裂する!? 

  • 石塚 隆 ●文 text by Ishizuka Takashi
  • 村上庄吾 ●写真 photo by Shogo Murakami

  『ライバルの汗と我が汗光り合ふ』(作者・堀本裕樹)

●市橋評
 ライバルと競い合っている様子が、臨場感とともにすごくキレイに感じられたので選びました。

●杉山評
 同じようなシーンを考えたんですけど、相手の汗が飛び散ってくるような状況は、個人的に嫌だなと思ってしまったんです。けれど、それを美しくまとめてきているところに感心しました。

●作者(堀本)評
 これは私の句になるんですけど、陸上をやっていたとき、ライバルと並んだときパッと横を見ると相手の汗の具合や息遣いなどを感じたんです。自分の汗とライバルの汗が、接近することで競い合いながら光り合っているような情景を描きたくて、この句を作りました。

作者以外の解釈を聞くことで、世界がどんどん膨らんでいくのが 俳句のおもしろさ作者以外の解釈を聞くことで、世界がどんどん膨らんでいくのが 俳句のおもしろさ
 その後も出句されたすべての俳句に対し講評が行なわれた。俳句というと、どうしても作る方に意識を捉われがちだが、こうやって句会をやってみると選句のセンスや講評のコメントも重要で、そこからどんどん世界が広がっていくことに気付かされる。
 次回、最終回では、この句会を体験してみての感想を参加者たちに語ってもらう。やる前と後では、どれほど俳句に対する意識は変わっているのか……。
(つづく)

 
  【profile】
堀本裕樹(ほりもと・ゆうき)
「いるか句会」「たんぽぽ句会」主宰。創作の傍ら、老若男女幅広い層へ俳句の豊かさや楽しさを伝えることをテーマに活動中。近著は又吉直樹氏との共著『芸人と俳人』(集英社)

5 / 5

関連記事

キーワード

このページのトップに戻る