【フェンシング】金メダリスト・太田雄貴に残された「最後の務め」 (5ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi  photo by AFLO

 昨年のアジア大会で、太田はこう話していた。「団体戦でメダルを獲りたいとずっと言っていたのは、たとえ個人戦でメダルを獲っても、下の世代の選手は、『太田先輩だから……』となるから。そうではなくて、『俺たちもできるんだ』という気持ちをみんなに持たせたい。下の世代の選手たちが、『この先輩に練習で勝てたから、僕たちも世界で勝てるんだ』という良いサイクルに入らないと、日本は強豪国にはなれない」

 そして、それが実現できたときこそ、太田は日本フェンシング界に「過去のメダルだけではない大きなもの」を残したことになる。

 そのためには、「(ランキング上位5ヶ国の)ロシア、イタリア、フランス、アメリカ、中国とどう勝負していくかですね」と語る太田。念願の世界一を手にしたあと、個人戦での活躍以上に団体でのメダル獲得が残された最後の務めだと決めた太田雄貴は、残り1年となったリオデジャネイロ五輪に向けて邁進している。

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