【レスリング】吉田沙保里の夏合宿「着いた瞬間から帰りたい」 (4ページ目)

  • 宮崎俊哉●構成 text by Miyazaki Toshiya  喜 安●撮影 photo by Kiyasu

――合宿中、帰りたいと思ったことは?

吉田 着いた瞬間からずっと。合宿が近づいてくると、いつも憂鬱(ゆううつ)でした。

――そんな憂鬱な合宿での楽しみはなんでしたか?

吉田 食事ですね。新潟は米どころですから、ご飯がめちゃくちゃ美味しいんです。近くに住むおばちゃんたちが用意してくれるんですけど、おかずも豪華で美味しくて。今はバイキング方式になって、自分で好きなものを好きな量だけとりますが、当時はワンプレートにいろんなおかずがドーンと置かれるんです。もちろん、ご飯も山盛り。ただ、私は昔から食が細くて食べるのが遅いから、最後は(食堂で)ひとりになっちゃうんですよ。すると、現在ナショナルチームのコーチをされている吉村祥子さんなどが、ずっと隣にいてくれて、「サオ、しっかり食べなきゃ」って話しかけてくれていました。

 合宿では掃除・洗濯や食事の後片づけなど、いろんな当番があるのですが、先輩方がよく私の面倒を見てくれていたので、本当にありがたかったですね。最初のうちはお客さん扱いだったのかな。そうそう、私があまりにも食べないもんだから、栄監督(和人・至学館大監督/日本レスリング協会強化本部長)の命令で、浜ちゃん(浜口京子)の隣で食べさせられていた時期がありました。テーブルで向き合って食べるんですけど、浜ちゃんは何度もおかわりに行くので、「すごいなぁ、食べるのも練習なんだな......」と思ったものです。

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